当園は瀬戸内海の岬の先に建っている建物で町中から少し離れた場所にあります。
そんな所へ数年前に3匹の猫が迷い込んできました。
どうも3兄弟みたいで、とても人なつっこい3匹でした。
ツンデレ・ハットリ・クロと名付けられ職員の気分転換な存在に。
その後3匹はオスなので縄張り争いを始め、ツンデレは園を出てしまいました。
ハットリとクロの仲も悪くなり始め弱かったクロを一時的に事務所で保護することに。
そんなクロは園のマスコット的な存在に。
人の心がわかるのか、いつも寄り添い癒してくれていました。
そんななか、クロの行動に外を見ることが多くなってきました。
しかし、外に出てはハットリとのケンカ。
なかなか思うような生活ができません。
しかし遠くを見るように外を見続ける生活が続きました。
ある日、天気がよく、ハットリと遭遇しそうにないので外へ。
外に出る時間が多くなってきた頃でもありました。
足取りも軽くそのまま坂を下って行きました。
その日は何か目的があるかのようにどんどん進んで行っていました。
それもあったのか、クロは帰ってきませんでした。
いつもは帰ってきてたのが、数日たっても帰ってきませんでした。
どこかに行ってしまったのかと思ってたところ、クロが他のところにいることがわかりました。
それは施設長が知っていた方の家にいたそうです。
しかしその方(Aさん)は、一人暮らしの高齢者でほとんど家から出ることもなく、近所づきあいもなく。近所からは、元気にしているのかどうかも分からないような状態だったそうです。
クロは園を出た日にAさんの家の前まで行っていたそうです。
家の前で鳴き続けていたのを見て、家へ招き入れエサをやってると、体をすり寄せAさんのそばから離れなかったそうです。
どこに行くもAさんのそばから離れずなにをするも一緒。
そんなクロが家族のように思えたそうです。
Aさんはクロの為に毎日一緒に散歩に出るようになったそうです。この時もクロが数歩先を歩いてAさんのペースに合わせて歩くんです。
「なにをしていたか、分からなかったAさんが毎日外を歩いている。」
近所の方からするとすごいことだったみたいです。
クロの為にエサを毎日買いにいき、クロと一緒に散歩をして、近所の商店の方は。Aさんは日に日に元気になってきた。
クロが来てからAさんは明るくなったし、人との関わりまで増えた。
との事です。
本来、社会福祉法人が行わなければならない高齢者支援をクロはいち早く地域に出向き関わっていったわけです。
人と寄り添う。
介護予防にとってとても大事なことですね。
Aさんとクロは今でも元気に生活されています。